大好きな演技をする二人の俳優との出会いの話

2025.07.06
「2024年観劇記録」と同様、こちらも放っておりところどころ文章になっていなかったもの。少し加筆修正したものを公開する。
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別題:「舞台『マリオネットホテル』での衝撃の前提にあったもの」。

2024年マリオネットホテルでくらった衝撃を書くならまず私が役者陳内将と梅津瑞樹を知った時のことから書く必要があるな…と書き出したら長くなったうえに舞台感想としては蛇足すぎるのもあり以下に外出し。
 
タイトルの俳優は陳内将(推し)、そして梅津瑞樹のことだ。
 
私が俳優陳内将を知ったのは2020年、はじめての繭期で舞台『TRUMP』(NAPPOS UNITED版 Truth)を見たときのこと。(厳密に言うとそれより前に『HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY』で⁠見ていたのだが一人の俳優として意識したのは『TRUMP』だった)
ストーリーにも渦巻いていた登場人物たちの感情にも衝撃を受け、このはじめての繭期をきっかけにTRUMPシリーズに転がるようにはまっていった。
そしてTRUMP視聴後ティーチャークラウスの声が耳から離れず、「こんな芝居をする人がこの世界にいるのか」、「私はクラウスが好きなのか、この俳優が演じるクラウスが好きなのか、この俳優の演技が好きなのか、この俳優が好きなのか」、「こんな芝居をする人はどんな世界が見えているのか」、などなどもう気になって気になってとにかくその時手に付けやすかった作品に手を出し演技を見た。俳優本人として出ている動画やSNSもチェックしはじめた。
色々見ていって数か月後、私は陳内将の演技が好きで、そして演技以外の面も含めて陳内将が好きなんだと認めるに至った。
2020年、日を追うごとにTRUMPシリーズも、陳内将という役者もどんどん好きになっていった。他の俳優が演じるティーチャークラウスもそれはもう大好きであるが、はじめて見た陳内将のティーチャークラウスは一等好きで、きっかけで、私にとって特別な存在だった。
 
梅津瑞樹を知ったのは舞台『BIRTH』だった。(その前に『GOZEN』で見ていたのだが、俳優として意識したのはこの舞台)
陳内将の演技をもっと見たいと色々調べていた時期であり、『BIRTH』は初めて劇場で陳内将の演技を見た作品でもあった。そこで梅津さんの演技を見て、「ああ私この俳優のする演技が好きかもしれない」と思ったのを覚えている。ラストの電話をかけるシーンでの間が、息遣いが印象的で、好みだった。
その後、当時動向が気になっていた俳優と2度ほど共演や共演の発表があったことや、紅葉鬼の出演で意識し続けていて、一人芝居「HAPPY END」でこの俳優が演じた役のみではなくこの俳優のする演技が私は好きなのだと確信をした。
それを経ての『あいつが上手で下手が僕で』(以下カミシモ)で、陳内将とコンビ役で共演があったことがそれはまあとても嬉しかった。その後もどんどん梅津瑞樹という俳優と演技のことが好きになり、今後も共演があると嬉しいなあと思っていた。陳内さんと同じくらいには梅津さんの演技が好きになっていた。「TRUMPシリーズ」に出演しているところが見たい俳優の一人でもあった。なんなら梅津クラウスも見てみたいと思っていた。
 
そんな状態だったので2024年は舞台カミシモに『6006』にと共演が続きほくほくしていたのだが、まさか『マリオネットホテル』でこの上ない衝撃を受けるとは思わなかった。受けた衝撃度についてはこちらに書いた通り。

masanoma.hatenablog.com

 「大好きな演技をする俳優」と「大好きな作品・役」、もっと言うとコンビ役をやっていたという共演歴からくる「俳優同士・他の役での関係値」、これらが ” TRUMP(陳内クラウスの姿)を身におろしたエゴ・ヴェラキッカ(演:梅津瑞樹) ” という形で奇妙に全部重なることはきっともうないだろうし、それらからくるこの衝撃もきっと二度とない。二度目があるのであればそれは大歓迎でもある。でも共演も見たいやはり。
 
 

-余談- 陳内将と梅津瑞樹の演技

私は陳内将と梅津瑞樹の演技に似ているところがあると思っている。
しかしどこが似ているのかというとよく分からない、感覚的なものだ。それに演技を見ていると寧ろ、正反対なのではと感じることも多い。
特に梅津さんに関しては見られていない作品が多いのもあるため、今(※2025年初め)時点での、ものすごく個人的な所感だが、梅津瑞樹は語りや一人芝居など「一人」での演技が特に印象強く、陳内将は台詞の無いところでの芝居や受けの芝居など「他者」ありきの演技が特に印象強い。というより好みだ。
もちろん二人ともどの演技も好きだし印象的だが、このように思うこともあって梅津瑞樹がライフワークとしていく橋本祥平とのユニット活動を見ていきたいし、陳内将の一人芝居を定期的に見たい。
 
似ていると感じるのは(今後変わるかもしれないが今(※2025年初め)の印象でいうと)、その湿り気と、温みと冷たさのバランスなのかなと思う。
陳内将の演技は質感は温かく柔らかい玉の中に鋭利なガラス片や重い芯があるイメージ。
梅津瑞樹の演技は少し冷たいガラスの箱もしくは乾いた木箱の中に温かいウェットなものがしまわれているイメージ。
形は全く違うが、演技が持つ温かさと冷たさのバランス、湿度が似ているように感じる。(俳優は誰でも温かさ冷たさ双方持ち合わせている方が多いだろうとも思うが)
 
陳内将、梅津瑞樹双方に、他にも縁深かったり共演数が多かったりする、かつ、私が演技が上手い・好きだと思う俳優もいるはずが、私が特にこの二人の演技を良し悪しではなく比較して考えてしまう事がままあるのは、やっぱり二人の演技が大好きだという他に、どこか通じるものを感じるから考えてしまうんだろう。
二人の演技は、あるところでは似ていてそれ以外は逆方向のような…うまくは言えないが点対称ではなく線対称に思うのだ。
 
そんな風に思う演技をする二人、今後共演があるかは分からないが、あったら嬉しい。とにもかくにも二人の演技を見ていけたら幸せだ。
 
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2025.07.06追記
これを書いていた当時、もし今後共演があるとしてもしばらく先かなあと考えていたのもあり、共演ではないにせよボイスフレンド企画が発表された時には驚いた。
声のみとはいえ陳内将が梅津瑞樹と同役を演じられたボイスフレンド「Re:僕から君へ」を経て、今はまたそれぞれの演技に感じる事、その違い、色々と出てきているが、このブログ内容を書いていた当時以上にうまくまとめられないので書かないでおく。
演技を見ていけたら幸せという気持ちのは変わらないでいる。
 

2024年観劇記録

2025年7月、下半期に入ったが、放られていた&微妙に文が完成していない状態だった2024年観劇記録を公開する。(文がごちゃごちゃして未完成だった箇所についてはこれを書いていた気分を2025年初めに持っていき修正。)2025年上半期ではなく、2024年の記録。
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2024年観劇記録

ショーはここに含める。舞台関連作品以外の映画、無料公開で視聴した作品は除く。
 
 ●:舞台・ショー等
 ◆:舞台関連作品の映画
 ★:イベント・コンサート
 ☆、○:配信でのみ視聴のイベント・コンサート、舞台作品。

1月

○タカハ劇団 「おわたり」

●舞台「東京リベンジャーズ」-聖夜決戦編-

○シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る「ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~」

●少年社中 25周年記念ファイナル 第42回公演「テンペスト」

☆TSUBASA KIZU 26th BIRTHDAY EVENT〈1/13 夜公演〉

●ミュージカル『イザボー』MOJOプロジェクト  -Musicals of Japan Origin project-

●Casual Meets Shakespeare『OTHELLO SC』

【S】

★陳内将 36th Birthday Event in 将道~だって年男なんだもん~ 

 

2月

●舞台「バンク・バン・レッスン」
●舞台『う蝕』
○Tie Works 「僕らが鎌倉に来たのは、ただしらす丼を食べるため」
●ミュージカル「伝説のリトルバスケットボール団」
 

2月〜3月

●unrato#11『月の岬』
●二人芝居「追想曲【カノン】」type-AKAZAWA
○二人芝居「追想曲【カノン】」type-HONDA
 

3月

★陳内将2024.04-2025.03カレンダーブック発売記念イベント
☆『王様戦隊キングオージャー』 最終回直後 六王国殊更緊急談話集会
○王様戦隊キングオージャーショー 第4弾 千秋楽公演
○「時をかけ・る~LOSER~」【BDA】
●ボイスフレンド「僕から君へ」(脚本/声の出演:梅津瑞樹)
 

4月

●剣劇「三國志演技~孫呉」
●劇団ホチキス第48回本公演 「ワイルド番地」
●Jewels Story 流星のタクト ーホルスト組曲―
●ニッポン放送開局70周年記念公演「鴨川ホルモー、ワンスモア」
◆ゲキ×シネ『天號星』
●MANKAI STAGE『A3!』 ACT2! ~WINTER 2024~
 

5月

●舞台「あいつが上手で下手が僕で」-決戦前夜篇-
●ワーキング・ステージ「ビジネスライクプレイ3」
●ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
○王様戦隊キングオージャー ファイナルライブツアー2024
 

6月

●舞台『鋼の錬金術師』-それぞれの戦場-
●宮下貴浩×私オム プロデュース 第7回公演
舞台「愚れノ群れ」
●舞台『刀剣乱舞』 心伝 つけたり奇譚の走馬灯
◆『TRUMPシリーズ15周年記念上映祭 劇場版はじめての繭期』第四夜/『COCOON』星ひとつ
◆『TRUMPシリーズ15周年記念上映祭 劇場版はじめての繭期』第五夜/ミュージカル『マリーゴールド』 
◆『TRUMPシリーズ15周年記念上映祭 劇場版はじめての繭期』第六夜/ピースピット 2017年本公演 『グランギニョル』
☆スエフェス2024
★「赤澤燈・陳内将の笑ってじんとも!!」 スペシャルイベント
●舞台「野球」 飛行機雲のホームラン~Homerun of Contrail
○舞台「文豪とアルケミスト 旗手達ノ協奏(デュエット)」


7月

★TVアニメ「デリコズ・ナーサリー」先行上映&トークイベント 上映後舞台挨拶
●紀伊國屋ホール60周年記念公演 熱海連続殺人事件『熱海殺人事件 Standard
●紀伊國屋ホール60周年記念公演 熱海連続殺人事件『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』
☆たぐコミュ人狼vol.13 1部
★たぐコミュ人狼vol.13 2部
●「無伴奏ソナタ -The Musical-」
 

8月

●三人芝居「6006(ロクゼロゼロロク)」
○ヒプステ -Renegades of Female-
☆ネルケプランニング 30th ANNIVERSARY『ネルフェス2024』
 

9月

●舞台「東京リベンジャーズ-天竺編-」
●舞台「戦隊大失格」
●舞台『マリオネットホテル』
●劇団四季『アラジン』
 

10月

●unrato#12 『Silent Sky』
 

11月

●MANKAI STAGE『A3!』~Four Seasons LIVE 2024~
○リーディングミュージアム~東京国立博物館~『東京方舟博覧記』
★「赤澤燈・陳内将の笑ってじんとも!!」 公開収録イベント ~俺たちゃいつまでもフィフティーフィフティー 一回行けば全通っしょ? in全電通労働会館~
★赤澤燈と田口涼の演劇深掘イベント(仮)第一部
●ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』
●劇団ココロゴス 第4回公演
●舞台「あいつが上手で下手が僕で」-人生芸夢(ゲーム)篇-
○劇団四季『ゴースト&レディ』
☆Watanabe Actors Star Fes
 

12月

☆TRUMP series 15th ANNIVERSARY FINAL『繭期極夜会』 <DAY1>
★TRUMP series 15th ANNIVERSARY FINAL『繭期極夜会』<DAY2>
●ミュージカル『next to normal』 
●日本の劇団「十二人の怒れる男」
★陳内将写真集(仮)発売記念イベント
★梅津瑞樹セカンド写真集『飛べ、現へ』発売記念イベント
●梅棒 19th GIFT『クリス、いってきマス!!!』
●言式「或いは、ほら」


振り返り

2024年は観劇を少し控えようと心に決めていたが、2023年の記録と比べるとチケットを取った公演数はさほど変わらなかった。使った金額は跳ね上がっていた。
2023年は1公演のチケット料金が比較的安いヒーローショーを観た回数が多かったこと、2024年は急な体調不良や検査、入院等がままあり直前に手放したチケットが多かったこと、発売記念イベントが2023年はなかったのに対し2024年はカレンダー+写真集で2度あったこと、単純にチケット料金があがっていると思われること(肌感)などなどがあったために金額が跳ね上がったと考える。しかし満足。
 
 

2024年に観た作品のうち二作品ピックアップして少し語る。推しが出ていない二つ目についての話がやけに長くなった。※以下敬称略

unrato#11『月の岬』

2024年で推しである陳内将の出演作品で特に印象に残ったものを挙げるとするなら『月の岬』だ。

ae-on.co.jp

もっと静かで、穏やかに、家族の日常が流れて終わる話だと思っていたら、静かに荒れ狂っていて、不思議な感覚になった舞台だった。ふとした時に舞台で見たシーンや信夫たちのことがよぎる。
陳内将がこの戯曲を選ばなければ、もしかしたら月の岬という作品に触れないでいたかもしれないことも踏まえて、彼が選んだ戯曲でつくられた作品を見られたことが嬉しかったし、この戯曲で、この舞台で彼が見られて嬉しかった。
インタビューや対談から受ける勝手な印象だが、陳内将が座長の作品の時は大体どこかセーブしているというか、座組全体を俯瞰で見てた上でバランスをとっているように感じるが、『月の岬』では、結構かなり自身の役に全投入されていたように思う。
2.5次元舞台以外での「陳内将主演」の舞台を初めて生で観られたことも嬉しかった。感覚的なはなしだが、なんとなく私にとって「これからの陳内将」を垣間見るものにもなっていた気がする。
一つの舞台作品としても好みかつどっぷり浸かるようなものであったし、まだまだ、もっと陳内将の演技が見たい、作品の中で生きる陳内将が見たい、そう思わせたものでもあった、2024年初頭の作品だった。
 

舞台『マリオネットホテル』

推しは出演していないがこれは特筆したい。

marionette-hotel.themedia.jp

観劇した時に私が感じたことは「こんなんありかよ」だった。

「こんなんありかよ」の内訳は大体こう。

  • イニシアチブリングなんてものできるんだ
  • TRUMP憑依させることできるんだ
  • TRUMP憑依って肉体的にも影響するんだ
  • 梅津瑞樹にこんなに色々乗せるだけ乗せて良いのか
  • 梅津瑞樹エゴに憑依したTRUMPがもろ陳内クラウスってそんなんありか
  • こんなライネスありか
色んな衝撃があるが、ストーリー・演出面で衝撃的だったのがウェディングライネス。驚いたし、大好きだと思った。こんな曲調のライネスがあるかと。
私はあのライネスから「先に悲惨な結末が待っている、だがそれは今この時の二人の幸せを否定するものではない」という感想を抱いた。幸せな瞬間だが結局この先には絶望の末路なのだということを示すライネスとも十分取れ、そう思うと意地の悪い演出と捉えられなくもないが、少なくとも観劇時の私は、あの曲調から、幸せを否定しないライネスだと受け取った。
シリーズを通し繰り返し作品の中で意味を持って流れる曲の曲調に、十周年にして大きな幅ができたのも、これから色んな可能性を思いワクワクする。
 
ストーリー・演出においても衝撃と感激を与えられた作品だが、他の点…出演俳優絡みの点においてでも衝撃だった。
この作品は推しである陳内将は出演していない。しかし、"いた"のだ。"陳内将のティーチャークラウス"が。9/16、私の目の前に。
 
観劇当時、私の中には以下のようなことが前提にあった。
  • TRUMPシリーズが大好き
  • ティーチャークラウスが好き
  • 陳内将(推し)の演技がとても好き
  • 梅津瑞樹の演技がとても好き
  • ティーチャークラウスのなかでも陳内クラウスが特に好き
  • ティーチャークラウスは推しと呼べる俳優に出会ったきっかけでもある
  • TRUMPシリーズに出演する梅津瑞樹が見たいと思っていた
  • 陳内将と梅津瑞樹の共演が今後もあったら嬉しいなと思っている

(「陳内将」「梅津瑞樹」「TRUMPシリーズ」を好きになった経緯、「陳内クラウス」への思い入れを回顧して書き出したが長いかつだいぶ蛇足的になったため外出しする。前提の詳細は右記参照。→ 大好きな演技をする二人の俳優との出会いの話 - 不時着のむこう)

このうえで"エゴ・ヴェラキッカに憑依した状態のTRUMP(陳内クラウスに酷似)(演:梅津瑞樹)"を食らったのである。分かるか。

とても好きな演技をする梅津瑞樹が大好きなTRUMPシリーズに出演し好きなキャラクターであるティーチャークラウス(憑依した形だが)を演じるだけでもそれはもうかなりの衝撃なのに、よりにもよってそのクラウスが、一等好きな陳内クラウスを想起させるものだったこと。大好きな演技をする人のそれだったこと。そもそも想起させるなんてものじゃない、姿勢、話し方、声の抑揚、震え、口先まで、私が何度も円盤で見た陳内クラウスのそれだったこと。脳内で陳内クラウスの声がオーバーラップした。
もうめちゃくちゃになった。困惑と動揺。
共演どころじゃない、共演よりももの凄いものを見せられた感覚だった。
 
ティーチャークラウスという役は陳内将が演じられてきた役の中でもかなり、だいぶ、色々と突き抜けている方だと思う。個人的に真骨頂だと思っている。それを…あの陳内クラウスを、梅津瑞樹は数分とは言えコピーのようなことができるのかという衝撃もあった。
私にとって大好きで特別なシリーズの、特別なキャラクターで、大好きな演技をする俳優二人がこんな想像を絶する重なりを見せる事は多分もうないだろう。
※ちなみに、憑依クラウスがずっと陳内クラウスを思わせるものだったかというとそうではなかった。
9/25夜はまじで知らないクラウスだった。ブチ切れクラウス。怒る元気あるクラウス。陳内クラウス完全にいなくなっていた。9/28夜配信では少し繭星陳内クラウスがいた気がした。山浦クラウスも少し。
 
本役で梅津クラウスを見たい気持ちが増し、陳内クラウスを生で見たい気持ちもさらに増したなんとも不思議な期間だった。
 
 
以上、2024年の振り返り。

『ダーウィン・ヤング 悪の起源』感想

原作を読み終えてからまとめて書き上げようとしていたら読み終わらないうちに7月も終わろうとしていた。今更ですが観劇当時書いたのを少し整理して投稿します。
チケットを取った最大のきっかけは「演出:末満健一」の文字。しかし観劇前はこんなに抉られるとも引きずるとも思っていなかった。

キャスト、演出、この作品のラストについての所感をそれぞれ以下に書きます。

キャストについて


主人公かつ素晴らしいWキャストだったダーウィン・ヤングと、特に印象的だったニース・ヤングについて。無駄に長い。

 

ダーウィン・ヤング

Wキャストは大東ダーウィン→渡邉ダーウィン→大東ダーウィンの順で観劇。

■大東立樹ダーウィン

大東立樹さんのダーウィン、終盤にとんでもないもの見せてきた…!
初めて観た時は、後半が席の関係で表情が見えないシーンがあったせいもあり後半よりも無邪気でキラキラした少年の面がよく見られた前半が印象的だったけれど、三度目観劇時には終盤も表情がよく見えてこんな目をしてたのかと震えた。とにかく終盤の芝居が鮮烈だった。
大東ダーウィンはもともとかわいらしさとキラキラがあったけど、レオと出会って呼応するように輝いていた印象がある。内海さんのレオとの「学校で遊ぶ心から分かり合える友達同士」感がすごい。レオとの関係、レオと友達っていう面が印象的だった。
だから、初めて観た時はレオを選ばなかったことが意外にも感じた。
電車での冷たく鋭く美しい目と、レオの葬式で舞台上手側で疲れた顔でボロボロと涙を流していたのが脳裏に焼き付いている。

■渡邉蒼ダーウィン

渡邉蒼さんのダーウィンはもう圧巻!!初っ端から引き込んできた、安定してよく響く声と歌が素晴らしい。お芝居にはずっと奥行きと重みがあったように感じられ、乗せられる感情に湿度があった。ラナーとニースとの『青い瞳の目撃者』での声の重なりがすごく美しかったし、特に『夜がなければ』が凄まじかった。
あと電話をしているシーンでの声の上ずり方や間に感情ぐっちゃぐちゃになっているのが受け取れてすごく良かった。父の秘密のためならレオも殺める覚悟と、どうかテープを聞いていないでほしいみたいな葛藤を私は感じた。
渡邊ダーウィンは穏やかでクラスの優等生で、物静かそうだけど子供らしい面も見せる子な印象。ラナーとの「ぎゅーっ」がそれはもうかわいかった。そして渡邊ダーウィンはニースに似ているなと思った。どこが似ているかというとよくわからないけれど、しいて言えばウェッティな雰囲気かも。
ところで芝居の質感もだがまず公演プログラムにあった解釈や考え方があまりに末満健一の世界に合いそうで、渡邊蒼くんを末満脚本作品でも見てみたい気持ちになった。

■Wキャストと見方の変わり方

実をいうと一度目に観た大東ダーウィンで、ラストがよく飲み込めなかった。なぜ父の秘密を守るために殺人までするのか。物語に対する不満や怒り悲しみを伴う「分からない」ではなくて頭では分かるけど肌感として分からなかった。
でも(一度話を知ったこともあるけど)二度目に観た渡邉ダーウィンのあの『夜がなければ』で、ああダーウィンはこの先父を許し守るんだとスッと飲み込めたし、だからレオに手をかけるときもそうだよね、ダーウィンはそうするよね、そうなるよね…とストンと腹に落ちた。
そして渡邊ダーウィンの後で観た大東ダーウィンはまた印象が違った。大東ダーウィンの電車でのレオを見る目があまりに鋭くて、これもうバリバリ殺意あるな…父のために何でもするって腹の中決まってしまっているんだな…と思ったし、ラストに対しては「ああ、やっぱりそうなってしまうのか…」と思って、一度目観た時とは違う感覚になった。三度目の観劇が一番やるせない気持ちになった。

大東ダーウィンはレオという"友"との繋がりが強い印象があって、終盤は電話のシーンから積もらせていったものが『青い瞳の目撃者』で一気に噴き出し大人になる。
渡邊ダーウィンは "父" との繋がりが強く感じたし、『夜がなければ』で覚醒し、覚悟は持ちつつ葛藤と苦悩を捨てきれぬまま大人になる。
なんとな〜くだけどそんなイメージを持った。演技の違いというよりか自分の中で感じたものの違いの話に近いけど、二人のダーウィン、それぞれ違うダーウィンで面白かったな。近い部分もありながら違う、対照的で素晴らしいWキャストだった。


ニース・ヤング

"ニース・ヤング" という役柄がもう好きだな、というのは初見一幕ラストから予感していたことだけれど、"矢崎広さん演じるニース・ヤング" があまりにも引力が凄すぎた。ニース・ヤングが背負ったものも、抱える感情も、演技も、予感していた以上だった。
初めて見た時は「こんなに良い演技を…様々なシチュエーションの演技を見せていただいて良いんですか!?こんなてんこ盛り詰め合わせを!?」みたいに興奮したし想像軽く上回りすぎて驚愕すらした。

理想を体現したようなあふれる父性、罪悪感にまみれ幻影にとらわれ怯える姿、焦り苛立ちによって優しさが崩れ愛する子に怒鳴る姿、酒瓶をひっつかみ嘔吐する姿、こみ上げる吐き気を必死に抑える姿、ソファに座り真っ黒な目で虚空を見つめ微動だにしない抜け殻になっている姿、純粋無垢の柔らかでかわいらしい16歳の姿、死にながら生きてきて「僕が死ねば良かったんだ」と16歳の時と同じ声音で崩れ落ちる姿…全てに胸を掴まれたしなんなら動悸がした。こんなに見たいもの一度に見せられることあるんだ。

「僕が死ねば良かったんだ…」の、46歳の皮が剥がれ落ち幼い16歳のニースが出てくるような変わり方が特に素晴らしい。全くわざとらしくなく、自然に、悲しい程に、彼は16歳のまま時が止まっているのだと分からせられる。この年齢変化、矢崎さんを『スリル・ミー』の「私」でも見てみたいと思った。

16歳のニースは本当にピュアでかわいらしくて朗らかで良い子すぎた…絶対友だち多い。でもニースが良い子で汚れを知らないような少年に感じられるからこそ父の抑圧のなかにいるジェイがあの行動に出たのも分かってしまう。

ニース・ヤングには全体的に色気を感じたけれど、色っぽいとは少し違う、ニースの人間性から漏れ出るような堅い色気で、独特のものだった。そしてニース・ヤングの芯には幼さや脆さも感じられ、それを父性や独特な色気が覆っていて、ダーウィンの父であり教育部長官のエリートであり16歳で時が止まっている少年という一人の存在を成り立たせていた。絶妙すぎる。


ダーウィン・ヤングとニース・ヤングについてつらつらと書いたが、このミュージカルのなかでラナー・ヤング、石川禅さんの存在もものすごく大きかったと思う。あまり歌唱力というものが分からない私でも分かる、歌が圧倒的に上手かった石川禅さん。はじめの歌声で、たったワンフレーズでこちらの集中力をガッと掴み離さなかった。石川禅さんのラナーの存在がこの作品を引き締めていたと感じる。音一つ一つがクリアで、柔らかく響く声で聞いていてとても気持ちが良かった。16歳のラナー・ヤングの若々しく跳ねてのびのびとした歌声や振る舞いは本当に”若いリーダー”にしか見えなかった。

それと大隊長やたら声が良いなあと思ったらジェイ・ハンター役の石井一彰さん兼役と公演プログラムで知りひっくり返ったこともここに記しておく。ラナー・ヤングに殺された男とニース・ヤングに殺された男の演者が同じってそんな。


演出について


一幕ラスト最高!!!!! 黒フーディがニースを覆いそこからバッとダーウィンが登場するのも、その後ニースが上段に姿を見せるのも好きすぎる、曲も含めテンションだだ上がり一幕ラストでスタオベしたかった。
そして絞殺シーン。異なる時空が重なるような演出が私は大好きなのでダーウィン/ニースそれぞれの殺める瞬間が同時に進む演出にはツボを押された。大好き。
紐の演出も好きだった。観劇中は綺麗だとか興奮みたいな感情があったけど終わって考えてみたらあれかなり難しくて凄いことしてない?と気付いた。凄い。舞台の上にあるものいるものすべて張り詰めて美しかった一糸乱れぬシーン。

ただ少し気になったのが映像演出。この作品の映像演出で特に不快や不満とまで思うところはなかったけど、末満さんが演出される舞台って2.5次元舞台以外では映像を使わないイメージがあったため、結構な箇所で映像が使われていたことが意外だった。
ちなみに個人的には映像が頻繁に使われるのは基本苦手な方で、映像やプロジェクションマッピングが使われていない舞台の方が断然好みだが、この作品の風景が切り替わるプロジェクションマッピングは自然で綺麗だったと思った。


ラストについて


初見では、この作品に対し "血や罪が絡んでしまった" という印象は持ちながらも、"雁字搦め" 感や "どうしようもなさ" はあまりないように思え、悲劇性をそこまで感じなかった。「他の選択もできたろうにレオを殺すこと(父を守り父と同じ道を辿ること)をダーウィンは自ら選んだんだ」という気持ちがあった。

そんなふうに初見ではこの作品のラストを「そうするしかなかった、ではなく、自ら選び取った道」と見ていたけど、二度目三度目観た後には「こうするしかなかったんじゃないか」「こうなるしかなかったんじゃないか」という思いがじわじわこみ上げてきたりもした。複数観てそれぞれで印象が変わった作品だった。

そしてラストで印象深かったのが『青い瞳の目撃者』の「僕だけじゃない」という歌詞と、レオの葬式シーンでヤング家三人が抱き締めあうシーン。絆のようなものを三人に感じた。あの三人には家族としての繋がりだけじゃなく赤いフードと殺人を通して、絆…断つことのできない繋がり、離れがたい結びつき…ができた(できてしまった)んだなあと思った。

こうして秘密を守っていくのがヤング家の形なんじゃないか、この連鎖はこれからも続くんじゃないか、そんな暗い将来もどこかに思わせながら「大人になる」と歌い上げ、明るめの曲調で終わるのは清々しさもあり、後味の良くなさと興奮と清々しさがあるなんとも不思議な味の作品だったように思う。

 

全てにおいて想像以上、期待以上の作品だった。こうまで引きずっているのは完成度がひたすら高かったのと先述したような後味の良くなさも興奮と清々しさも感じられる作品だったからと思う。あと円盤化の情報がないせいも多分にあると思う。舞台作品とはその時その時のものだとは分かっているしそこも含めて好きだけれど、もうこの作品が観られないのが後世に残らないのがなんとも歯噛みする思い。再演してほしい。音源がほしい!!!!!
とにかくバタバタして途中で読むのが止まっていた原作を読み終えます。